回文春秋

回文と鑑賞

回文もどき その2

 

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アラブだから油
(あらぶだからあぶら)


根津甚八チンパンジーすね!
(ねづじんぱちはちんぱんじーすね)


監査員会で金塊を換金し謹慎して解散か
(かんさいんかいてきんかいをかんきんしきんしんしてかいさんか)


ツラ貸せや、元気ハツラツやらせカツラッ!
(つらかせやげんきはつらつやらせかつらつ)


夢うつつか、ふつつかな妻、松うかしつつ、埋め湯
(ゆめうつつかふつつかなつままつうかしつつうめゆ)

 


何という微妙な贋作っぽさだろうか。

少しも本物でないのに、いかにも本物っぽい顔をしているのが小憎らしい。正々堂々としているのに、正面から見れば見るほど安っぽい。タレントのそっくりさんのように薄気味が悪い。えせラッパー風で気恥ずかしい。背中に蛞蝓が這っているようでゾクゾクする。作っていて、手先がおぞましい。

それなのにどこか気持ちがいい。

回文を作る人はせいぜい「変わった人」「変人」レベルだと思うが、「回文もどき」を作っている人となると、とうとう「変態」というレベルに到達したように思う。

ただし、よい点もある。普通の人が回文を作るのは何だかんだ言っても難しいので「回文もどき」作りならやりやすいかもしれない。

たとえば「回文もどきコンテスト」として広く募集することもできる。それなら、回文を作ろうとして完成に至らなかった失敗作も有効利用できるのだ。

回文もどき作家は正真正銘の変態のくせに、ぐるっと一周して一般の人たちと親しく通じているという、フレンドリーで奇妙な存在である。