回文春秋

回文と鑑賞

回文もどき その3

労働者絶やした道路
(ろうどうしやたやしたどうろ)

【解説】一見したところ回文に見えるが、逆から読むと少しも回文になっていない。それが回文もどきである。この日本語史上、もっともバッドテイストな言葉遊びの世界へ皆さんをご招待しよう。まずは一本の道路のために、周辺の市町村や産業が停滞し、労働者が絶えてしまうという社会派っぽい視点が光る一作。

 


火災報知機、小さい方か?
(かさいほうちきちいさいほうか)

【解説】あっさりとシンプルにまとめた回文もどき。中央の「ちきち」の響きが回文っぽい。

 


拉致されて七並べしてちらし寿司
(らちされてしちならべしてちらしずし)

【解説】拉致されても、意外と楽しそうで食事も美味しそう。それはともかく、五七五の調子のよさに誤魔化されかけるが、最初の一文字と最後の一文字が対応していないという酷さである。

 


手間かけて犯人には手かけ「待て!」
(てまかけてはんにんにはてかけまて)

【解説】微妙に回文になっていそうで、音読するとなっていない。意味としては犯人に迫る瞬間の緊迫感があってよい。

 


ユニクロにトマト投げ、逃げたのらくろ
(ゆにくろにとまとなげにげたのらくろ

【解説】日本の企業が海外進出をすると現地の人に嫌われたりするものだが、のらくろにトマトを投げられるとは、どういう状況なのか。そもそも最初と最後が違う文字だが、前から読む分には回文風である。

 

のらくろ捕物帳 [カラー復刻版] (のらくろ 幸福(しあわせ)3部作)

のらくろ捕物帳 [カラー復刻版] (のらくろ 幸福(しあわせ)3部作)

 

 

 

池でオカリナ吹く子、工夫なり、顔で芸
(いけでおかりなふくこくふうなりかおでげい)

【解説】これは惜しくもあとひと息で回文になりそうな作なので、回文もどきとしては優秀なのかそうでないのか微妙なところ。

 


耳鼻咽喉科ジビエ鍋、手作りで食べた美人
(じびいんこうかでじびえなべてづくりでたべたびじん)

【解説】有名な土屋耕一の回文「酢豚つくりモリモリ食ったブス」へのオマージュである。そんなの捧げるなと言われそうだが、最初も最後も真ん中も少しも回文になっていない。