回文春秋

回文と鑑賞

回文の作り方:初級レベル その2

前回の1~4のうち「1.ある特定の言葉をひっくり返す」という作業が、思い通りに都合よく進むとは限らない。

手当たり次第に言葉をひっくり返しても成立しそうなものだが、すぐに上手く行くケースは少なく、成立しない場合がほとんどである。

例えば動物や生き物の名前でいうと、

 

とり→りと

へび→びう

きりん→んりき

かえる→るえか

うさぎ→ぎさう

ひょう→うよひ


など、ありふれた言葉であっても上手くいくとは限らない。

回文の世界に入っていける動物よりも、そうでない動物の方がずっと多いのである。

 

仮にあなたが「小学4年生に回文作りを指導する国語教師」であったとしたらどうか?
大きな声で、

「さあ、色々な言葉を反対にして、回文を作ってみよう!」

「どんな言葉でも、何でもいいぞ!」

「できない子は動物の名前で考えよう!」

と言っても、生徒が自発的に考える名詞は上記のようなものが多い。

結果として、生徒のほとんどは回文の完成には至らない。

これではダメ教師によるダメ授業である。

 

あなたが良い教師になるためには、言葉をひっくり返す前、つまり選定する段階で工夫が必要になる。

では「初歩的な(十文字以内の)回文として成立しそうな言葉」を選ぶための簡単な方法や論理的なヒントを挙げてみよう。

 


A.なるべく短い言葉を選ぶ

 

4文字よりは3文字、3文字よりは2文字の言葉を選ぼう。
カモシカやクジラやカツオを選ぶ前に、エイやカニを優先させてみよう。

 


B.日本語でよく使用される音を意識して使う

 

よく使用される音は、ひっくり返しても使用頻度が高いままである。
そのため、別の意味を持った言葉に結びつきやすい。
日本語の平仮名でいうと、

い、ん、か、し、う、た、と、つ、て、の

の順に多く使われているという。

 

 

C.文末に来る音を意識して使う

 

例えば「学校に行く」という文の文末に来そうな言葉を考えてみると、

 

学校に行くか

学校に行くか

学校に行く

学校に行くの

学校に行く

学校に行くっ

学校に行く

学校に行く

学校に行く

学校に行く

学校に行く

学校に行く

 

など、様々である。

これらの文末に来る言葉を意識して、文頭の文字と対応させると、

 

(さで始まる言葉)~さ

(なで始まる言葉)~な

(わで始まる言葉)~わ

 

といった型が幾つもできるので、これらに当てはまるように考えればよい。

例:

猿、狩るさ!

坂の傘

中野かな

波、飲みな!

渡したわ!

私だわ!

 


D.名詞にこだわらない

 

最初に「何らかの言葉」を想定する場合、普通は名詞を考える。

しかし、動詞で二文字の単語や、それ以外の副詞や連体詞で二、三文字の単語でも構わないのである。

 

例:

打つ(うつ)→通(つう)
貸す(かす)→スカ(すか)

 

 

あなたが初歩的な回文作りに成功するためには、以上の四点を参考にして言葉を選ぶことが第一歩であり、近道である。

また、自分自身に対して良い指導教師となり、同時に素直で勤勉な生徒となることが必要である。

(続く)