回文春秋

回文と鑑賞

時代物

不平不満や要求が多い一休さんシリーズ

トンチ比べ?……楽チン、と? (とんちくらべらくちんと) 【解説】一休さんの元に、トンチ比べの依頼が舞い込んだ。「トンチ比べなど楽チンでしょう?」と持ち上げられて、かえってカチンと来たらしい。 トンチ勝負ゥ?よしちんと? (とんちしようぶうよし…

忍びの道

「お主ら……」「誰?」「何?」「……忍びの道は、魑魅の美の死に慣れたら死ぬ……」「お?」 (おぬしらたれなにしのびのみちはちみのびのしになれたらしぬお) 【解説】死んだはずの女の口から、不気味な声が漏れ出し、難解な忍びの道を説くではないか。屈強な…

「朝、くノ一、唾はいたらしいし、裸体はばっちいの!」「臭あ!」

(あさくのいちつばはいたらしいしらたいはばつちいのくさあ) 【解説】くノ一は死ぬ寸前に唾を吐き、裸体も汚く臭いという。しかし、そのように忌み嫌われることこそが、忍法によって仮死状態となったくノ一の狙いなのであった! 妻は、くノ一 (角川文庫) …

きちんと歯磨きした式神はトンチキ

(きちんとはみがきしたしきがみはとんちき) 【解説】式神とは、陰陽師が使役する鬼神のことで、人心から起こる悪行や善行を見定める役を務める。式神が歯磨きを気にしてきちんとするようであれば、安倍清明も怒りだすようなトンチキな奴である。 安倍晴明…

夜空は野原ぞよ

(よぞらはのはらぞよ) 【解説】夜空を見上げて、幼くして身罷った遺児を想っている殿様である。あの子は星となって、今夜も夜空の野原を駆け回っているに違いないぞよ……。 夜空はいつでも最高密度の青色だ 作者: 最果タヒ 出版社/メーカー: リトル・モア …

黒船や 小さな才知 屋根付録

(くろふねやちいさなさいちやねふろく) 【解説】黒船がやってきた。西洋人の目からは、日本の建物は東洋人の小さな才知を結集して作ったように見えることだろう。おそらく、屋根は雑誌の付録のようにしか見えまい……。無季の句。 黒船 (中公文庫) 作者: 吉…

妻お留守 灯篭売ろうとするお松

(つまおるすとうろううろうとするおまつ) 【解説】本日はこの家の若妻がお留守である。使用人のお松は、ひと目を忍んで灯篭を売却せんと試みる。いったい何を企んでいるのであろうか……?灯篭は秋の季語、とはいうものの回文俳句というより時代物ドラマの次…

策士な娘

武家、策士な娘、連れ出す。 「誰っ!?」 メス、虚しく叫ぶ……。 (ぶけさくしなむすめつれだすだれつめすむなしくさけぶ) 【解説】策を弄してお武家さまをからかっていた町娘が、娘らを「牝」と呼ぶ闇の組織に拉致された!目明し山之介は、お辰姐さんの力…

妖しき写楽は蔵・屋敷じゃあ!

(あやしきしやらくはくらやしきしやあ) 【解説】謎の浮世絵師・写楽の正体は単なる町人ではなく、蔵のある屋敷に住んでいる人物だという情報が入った。さっそく十手を片手に現場へ急ぐ、目明し山之介(山さんの先祖)じゃあ! 写楽を追え―天才絵師はなぜ消…

お辰捕物帳シリーズ

お辰「川魚の長さ、わかったお」 (おたつかわさかなのなかさわかつたお) 【解説】名前は勇ましいが舌足らずな町娘・お辰。川魚の長さを、定規を使わずに求めよという難題を解いてみせた幼少期のエピソードから。 お辰「あ、十六夜隊、余罪あったお」 (お…

美男剣士の歩いている、あの真剣な美

(びなんけんしのあるいているあのしんけんなび) 【解説】見るがいい!キリリとした美男剣士の歩いている、あの真剣な美を――! 美男城 [DVD] 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D) 発売日: 2009/11/21 メディア: DVD 購入: 1人 クリック: 8回 この商…

椎ふたつ

椎ふたつ 臣下いくさに作為感じ 伝ふ意思 (しいふたつしんかいくさにさくいかんしつたふいし) 【解説】椎の実が二つ、地面に落ちている。忍びの者の伝達に使われた暗号であると悟った臣下の一人は、これから始まるいくさに作為を感じ取った!一刻も早く、…

綱吉よ!

いや新奇、幕府。 綱吉よ! 夏服ば着んしゃい! (いやしんきばくふつなよしよなつふくばきんしやい) 【解説】「いやあ、実に新奇なことをやるものだ、幕府は。綱吉よ!さっぱりとした夏服を着なさい!」と、幕府も五代将軍綱吉も見下げたような口調で記し…

お辰「仮名書きの『き』がなかったお」

(おたつかながきのきがなかつたお) 【解説】名前に似合わず、甘えん坊で舌足らずな喋り方のお辰が言うには、「仮名書き」の送り仮名の「き」が省略されて「仮名書」になっていたという。 「仮名書き法華経」研究序説 作者: 野沢勝夫 出版社/メーカー: 勉誠…

「HEY!カツオブシ!」武士がしぶしぶお使いへ……。

(へいかつおぶしぶしがしぶしぶおつかいへ) 【解説】海外からの賓客が「HEY!カツオブシ!」と叫んでいる。人の手が足りないので、武士がしぶしぶ鰹節を買うためにおつかいへ出た。 にんべん 本枯鰹節(背節) 出版社/メーカー: にんべん メディア: 食品&飲…

いくつかの特技、聞く――。「殿、かっくい~!」

(いくつかのとくぎぎくとのかつくい) 【解説】殿様と言ってもまだ若い。町人の凡介はたまたま殿の危機を救い、特技を聞いたのであった。そこで思わず「殿、かっくい~!」と感心する。 若殿八方破れ (徳間文庫) 作者: 鈴木英治 出版社/メーカー: 徳間書店 …

新いろはかるたシリーズ

犬も歩けば、化けるアモ縫い (いぬもあるけばばけるあもぬい) 【解説】「アモ縫い」は専門的過ぎるため、ここでは解説しづらい。よって割愛する。またの機会にということで……。 可愛い子にはニコ!いい和歌! (かわいいこにはにこいいわか) 【解説】昔の…

夜と笑み――。屋根、乗る。「お?」ガタン!「暗殺者の弥七さん!あんたがおるのねゃ、見えとるよ!」

(よるとえみやねのるおがたんあんさつしやのやしつさんあんたがおるのねやみえとるよ) 【解説】夜、屋根に乗って様子を窺っていた弥七の姿は、相手に筒抜けであった。「弥七」を「やしつ」、「おるのねゃ」と奇妙な訛りで喋る老人の正体は? 常滑焼3-773淳…

ウソ泣き・いびき・セクハラすら――!白石贔屓な僧

(うそなきいびきせくはらすらはくせきびいきなそう) 【大意】ウソ泣き、いびき、セクハラすら行う新井白石を贔屓し、庇護する僧がいた。 【解説】新井白石は江戸時代中期の旗本・政治家・学者。どこの世界にも権力者に贔屓される人物はいるものである。 新…

弓を引き、焚き火を見ゆ

(ゆみをひきたきひをみゆ) 【大意】弓を引いて、焚き火を見た。 【解説】炎にゆらめくのはライバルの面影か、はたまた憎き仇の姿か……?

「仕方なくな、長屋で待つまでやがな……。泣くな、隆志!」

(しかたなくなながやでまつまでやがななくなたかし) 【大意】仕方なく長屋で待つまでだ。泣くな隆志よ。 【解説】妻に逃げられ、探すあてもない。仕方なく住んでいる長屋でじっと待つばかりである。息子の隆志はしくしく泣き始めた。 本所おけら長屋 (PHP…

「長屋の儲かった金だ?使うものやがな!」

(ながやのもうかつたかねかたつかうものやがな) 【大意】長屋の経営で儲かった金だから大切にしろというのか?金は使うものなのだ! 【解説】やっとの思いで貯めた金を、無駄遣いする親父の強引な理屈である。 たそがれ長屋―人情時代小説傑作選 (新潮文庫)…

「死ぬまで丹下左膳、グンゼさ!」源太、デマ主

(しぬまでたんげさぜんぐんぜさげんたでまぬし) 【大意】「死ぬまで丹下左膳はグンゼ(のパンツを履いたまま)さ!」とデマを流した主は源太である。 【解説】源太という名前だけにデマの源流。グンゼのパンツは子供が履くものなので、中学生くらいになる…

捨てた絵「ほお……」 一茶が殺意覚えたDEATH!

(すてたえほおいつさがさついおほえたてす) 【大意】自分の描いた絵が捨ててあるのを目にした小林一茶は「ほお……」と言い、強い殺意を抱いた。 【解説】「~です」と「DEATH(死)」をかけている。一茶は自分の句に絵を添えることがあった。 一茶俳句集 (…

虚しい武蔵、菓子つまみ待つ「……しかし、……寒いし、……南無」

(むなしいむさしかしつまみまつしかしさむいしなむ) 【大意】虚しさを胸に武蔵は菓子をつまみ、待ちながら「……しかし、……寒いし、……南無」と言う。 【解説】宮本武蔵は寺(あるいは墓地か)で誰かを待っている様子である。「……しかし、」以下の台詞は「バ…

酢橘、蜜柑、――江戸から。大らかド演歌道ダス!

(すだちみかんえどからおおらかどえんかみちだす) 【大意】酢橘と蜜柑が江戸から届いた。大らかにド演歌の道を進んでゆこう。 【解説】遠路はるばる江戸から届いた「酢橘」は「巣立ち」、「蜜柑」は「未完」の意味をかけている。演歌修行の旅の道中を、江…

ひとこと「おりくめ……。」…と、風刺画の画集ふとめくり、男問ひ。

(ひとことおりくめとふうしがのがしうふとめくりおとことひ) 【大意】「おりくめ……」と洩らした男が、ふと風刺画の画集をめくり、問いかけてきた。 【解説】男と「おりく」の間には深くて長い川が流れているようだ。 しぐれ茶屋おりく 文庫コレクション (…

「茄子郎、牢屋行き!」「いやー!」「ウロウロすな!」

(なすろうろうやいきいやうろうろすな) 【大意】茄子郎は牢屋行きと命じられ、嫌がりながらウロウロしている。 【解説】男か、それとも女か?「茄子郎」という人物は謎めいている。

畳店の子、わあわあ泣き「お、おいら、江戸の町、ヘチマのどえらい大きな泡、泡コ、飲んでみただ……」

(たたみてんのこわあわあなきおおいらえどのまちへちまのどえらいおおきなあわあわこのんてみたた) 【大意】畳店の子がわあわあ泣きながら「江戸の町でヘチマの大きな泡を飲んでみた」と報告している。 【解説】捕物帳の発端のような雰囲気が濃厚である。

滝で頑張り「鏡餅揉み係番」ができた

(たきでがんばりかがみもちもみがかりばんができた) 【大意】滝で修行して頑張ったことが認められ「鏡餅揉み係番」という名誉職が認定されたのじゃ。