回文春秋

回文と鑑賞

回文日記

いい肉、落し物にする。

留守にの……。 もし、 遠くに、い、行くなら、 泣く。 いい肉、落し物にする。 (るすにのもしとおくにいいくならなくいいにくおとしものにする) 【解説】「明日は留守にしますから、おじいちゃんは家でお留守番をしていて下さいね」と言われて拗ねているお…

また消えた記憶……

また消えた記憶…… ガク! 起きた駅「多磨」 (またきえたきおくがくおきたえきたま) 【解説】また記憶が消えてしまった……。と電車内で思っているうち寝てしまったらしい。ガク!となり、起きた駅は「多磨」であった。記憶喪失者の回文日記である。 www.jala…

ひとり旅日記

錆びたな、暗い線路……。 「ん……、セイ!」 楽な旅さ……。 (さびたなくらいせんろんせいらくなたびさ) 【解説】あてもなく旅する男の回文日記である。かつては銀色に輝いていた線路も、今はもう錆びており、陽が落ちてあたりは暗い。線路を遮って倒れている…

「楽しく書く死の短歌!」

仮の嘘さ……。 「盛り上がる予感!」 「楽しく書く死の短歌!」 「夜が、蟻も誘うノリか?」 (かりのうそさもりあがるよかんたのしくかくしのたんかよるがありもさそうのりか) 【解説】コピーライターの回文日記である。「死の短歌」を楽しく書こうというイ…

囚人日記

過ぎ去る夜、 くたびれ。 手の傷が癒え、 臭い飯だし。 名作映画好きのテレビ抱く夜、 詐欺す。 (すぎさるよくたびれてのきずがいえくさいめしだしめいさくえいがずきのてれびたくよるさぎす) 【解説】いくつもの夜が過ぎ去り、くたびれた。手の傷は癒えた…

幾何学が書き記してる旅の先

食いつつメモ書き(キザ) 伸びたる手、記し 幾何学が書き記してる旅の先 気が揉めつつ行く (くいつつめもがききさのびたるてしるしきかがくがかきしるしてるたびのさききがもめつついく) 【解説】食べながらも数式を書く手を止めずにいる数学者の回文日記…

風景画メモ

風景画メモ カニと波 港にカモメが行け うふ。 (ふうけいがめもかにとなみみなとにかもめがいけうふ) 【解説】風景画に何を描くべきか、アイディアのメモを書いた日本画家の日記である。自分の考えに自分で喜んで「うふ。」と書き加えている。女性画家であ…

目と血、肌、消す玉

目と血、肌、消す玉。 また、ママ助けた。 八度目。 (めとちはたけすたままたままたすけたはちとめ) 【解説】魔力を持った玉の力で、目と血と肌を消す力を手に入れた少年……、ということはガイコツのような姿で、八回もママを助けたのであろうか?謎が謎を…

カトちゃん日記

寿司、いなりだね? カトちゃん、今夜ちと金たりない。 死す。 (すしいなりたねかとちやんこんやちとかねたりないしす) 【解説】高額ないなり寿司が出される高級寿司店で、カトちゃんは少しばかりお金が足りなかった。死の間際に書き残された回文日記であ…

大地凍て怒りつつ釣り会で一位だ

大地凍て。 怒りつつ。 釣り会で。 一位だ! (だいちいていかりつつつりかいていちいだ) 【解説】冬のある日、寒さのあまり大地が凍りついた。怒りつつ釣り会に行ってみると一位になったので嬉しい。釣り人の回文日記である。 釣り人の「マジで死ぬかと思…

あんた腰抜けかい?

追いかけぬ? 色丹荒らした、 歩いてきているあたしら。 あんた腰抜けかい? お? (おいかけぬしこたんあらしたあるいてきているあたしらあんたこしぬけかいお) 【解説】色丹島を荒らしたらしい、不良娘の回文日記である。あたしらを追いかけて来ないのか…

鋭いナイフ止める素手

鋭いナイフ止める素手。 ……嘘だそうで。 スルメと麩。 いないと留守。 (するといないふとめるすでうそだそうでするめとふいないとるす) 【解説】サーカス団事務所の受付兼電話番の回文日記。履歴書に「鋭いナイフも素手で止める」と自慢げに書いてきた男は…

好きなもの日記

好きなもの 理科 学位 疾風怒濤と動物飼育係のモナ キス (すきなものりかがくいしつぷうどとうとどうぷつしいくがかりのもなきす) 【解説】大学生らしき人物が好きなものを挙げているメモ風の回文日記。「疾風怒濤と動物飼育係のモナ」の「モナ」とは男か…

寝ていても、本にご機嫌……。

寝ていても、本にご機嫌……。 感激! 五人、ホモでいてね! (ねていてもほんにごきげんかんげきごにんほもていてね) 【解説】急死した五人の読書家は、寝ていても本にご機嫌なまま……!それを見て、すっかり感激しちゃったのよ!五つの棺桶を見送る列席者は…

いんげんリゾット 一つ ゾリンゲン 五つ

誰さ? チラシ眺めつつ、 いんげんリゾット 一つ ゾリンゲン 五つ 目がなし。 拉致された。 (たれさちらしながめつついんげんりぞつとひとつぞりんげんいつつめがなしらちされた) 【解説】自宅でチラシを眺めつつ「いんげんリゾット 一つ ゾリンゲン 五つ…

綱吉よ!

いや新奇、幕府。 綱吉よ! 夏服ば着んしゃい! (いやしんきばくふつなよしよなつふくばきんしやい) 【解説】「いやあ、実に新奇なことをやるものだ、幕府は。綱吉よ!さっぱりとした夏服を着なさい!」と、幕府も五代将軍綱吉も見下げたような口調で記し…

どくいりきけんたべたらしぬで

で、ぬしら。 ……食べたんけ? ――霧、行く。 どくいりきけんたべたらしぬで (でぬしらたべたんけきりいくどくいりきけんたべたらしぬで) 【解説】「グリコ・森永事件」を捜査した刑事の回文日記である。「どくいりきけんたべたらしぬで」を逆に読むことで浮…

瓦解、余震ぐらぐら。

済ましたい……。 瓦解、 余震ぐらぐら。 軍師よ、 如何いたします? (すましたいがかいよしんぐらぐらぐんしよいかがいたします) 【解説】大地震による被災地の市長の回文日記。細々とした仕事を一刻も早く済ましたいと考えるが、いつまでも余震が続き、建…

ちっと黙りんしゃいや!

濡れ師か! ちっと黙りんしゃいや! 真理、まだどっちか知れぬ! (ぬれしかちつとだまりんしやいやしんりまだとつちかしれぬ) 【解説】修行中の仏教僧の回文日記。いきなり「濡れ師か!」と怒っているが「濡れ師」が何のことだか誰にもわからない。周囲で…

留学生日記

再度、秘密の品(花)。 嘘さ。 なめらかで、からめなさそうな話の罪。 酷いさ。 (さいどひみつのしなはなうそさなめらかでからめなさそうなはなしのつみひどいさ) 【解説】日本語を学ぶために来日した語学留学生の回文日記さ。再度、秘密の品だという花を…

遭難で、立てない。

ふ、ふたりへ。 遭難で……、立てない。 撫でた……、手。 ……ん? ……な? ……ウソ! ヘリだ! ふふ。 (ふふたりへそうなんてたてないなてたてんなうそへりたふふ) 【解説】遭難者の残した回文日記。「ふたり」というのは妻子のことであろうか。冬山で遭難したた…

魂ないし……。

血にイライラ。 釣り、落とす。 魂ないし……。 また素通り。 辛い来日。 (ちにいらいらつりおとすたましいないしまたすとおりつらいらいにち) 【解説】来日した吸血鬼が残した回文日記である。血を見るとイライラするし、お釣りを手で受けようとすれば落と…

今はもう秋

そなた待つ 今はもう秋 逢うも浜 いつ、また……(謎) (そなたまついまはもうあきあうもはまいつまたなそ) 【解説】そなたを待っている今は、もう秋である。逢うにしても浜辺で人の目をしのんでのこと。次はいつ、また逢えるのだろうか。恋しい人を想う気持…

卑怯者にも土耳古の酒

卑怯者にも土耳古の酒は今朝残る。 共に飲もう、よき日。 (ひきようものにもとるこのさけはけさのこるともにのもうよきひ) 【解説】昨夜は浴びるようにたくさんの酒を飲んだなあ。俺のような卑怯者にすら、今朝はまだ酒が残っている。さあ、また共に飲もう…

煮込んだ大人とお団子にして

食べたで。 死。 煮込んだ大人とお団子にして食べた。 (たへたてしにこんだおとなとおだんこにしてたへた) 【解説】四国の山奥の村で、大人たちが忽然と姿を消した。謎を解く鍵となる少女が記した日記には、不自然な作為の痕跡が……? 人情派刑事・山さんこ…

いったん留守に

昼いて、いったん留守に。 「竹輪だわ……」 「口にするんだ……」 ついている日。 (ひるいていつたんるすにちくわだわくちにするんたついているひ) 【解説】女優の不倫の証拠とされた回文日記である。一応、昼は自宅にいたが、その後はいったん留守にして男と…

うたかた

しかと思う、恋しい。 化けた方……海。 うたかた、気配し。 憩うも、おどかし! (しかとおもうこいしいはけたかたうみうたかたけはいしいこうもおとかし) 【解説】恋する乙女の恋愛回文日記である。 恋しく思うあの方は、海で溺れて化けて出た。海の泡を眺…

血、出したアンポンタン笑みと透かすと見えんタンポン、あたしたち。

(ちたしたあんぽんたんえみとすかすとみえんたんぽんあたしたち) 【解説】「三十分も考えて、一行しか書けなかった」という女子高生が宿題で書いて提出した回文日記。 女子高生の生態図鑑 (中経☆コミックス) 作者: しまぷ 出版社/メーカー: KADOKAWA / 中…

音の友

謝っておかな……。 行くと、元の通りなり。 音の友、得意な顔。 徹マやあ! (あやまつておかないくともとのとおりなりおとのともとくいなかおてつまやあ) 【解説】関西のミュージシャンによる回文日記。メンバーに謝っておかなければと考えて仲間のところへ…

ジャムパン食む

ロケで私物、お金しまう。 ジャムパン食む。 野次馬「死ね!顔つぶして、蹴ろ!」 (ろけてしぶつおかねしまうじやむはんはむやじうましねかおつぶしてけろ) 【解説】ロケ地の小国は政情不安に揺らぐ軍事政権国家であった。俳優のYは用心のために私物・お金…